Seria Net
No.17


ヤマタケが斬る
パラサイトを寄せつけるな

本人や監督の了解も無しにプラセボ(偽薬)を飲ませた
学者や栄養士が起こす倫理から外れた行為は、断じて許せない

スポーツ選手をサポートする立場として、いつも心掛けているのは選手の人格を尊重することである。トレーニングも治療も栄養摂取も必ず本人の意志によるもので無ければならない。ところが日本では企業やチームの思惑が優先され、選手の意志が度外視されている場合が多い。人として豊かに生活する事は二の次で、身も心も削って勝敗に固執しなければならない。彼等がどんなに不安な生活を送っているかなど他人は知る由も無い。先日、あるコーチから驚くべき話を聞いた。貧血に良いという触れ込みで、本人や監督の了解も無しにプラセボ(偽薬)を飲まされ、貧血で苦しんだ選手がいるというのだ。識者であるはずの学者や栄養士が起こす倫理から外れた行為は、断じて許してはいけない。いずれ糾弾するつもりである。「強くなりたい」「勝ちたい」と思う純粋な気持ちを育むのは指導者の仕事だが、それを逆手にとって利用し、売名行為や富につなげるパラサイト(寄生生物)を寄せつけてはならない。夢に向かって人並みはずれた努力を続けているにも関わらず、選手は未だ弱い立場に置かれている。公平にあらゆる分野の研究や見解を咀嚼し、その選手に最適な方法を見い出すのが周辺を取り巻くスタッフの役目である。高い理念を持って自らの襟を正したい。(山)