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No.08


日本ケミコン陸上部高橋千恵美さん
野に咲く夢一輪

中学3年生で全国ランキングに登場、以来毎年確実に自己ベストを更新している。その活躍は目覚ましく、今年ついに世界選手権への出場を果たした。日本人離れした大きなストライド。果敢にレースを引っ張り全力を出しきるその姿に、何時も新鮮な感動をおぼえる。その少年の様な姿から、いつのまにかとびっきりの美人選手に成長された、高橋選手にお話を伺った。

外国の選手は国のために走っている
世界陸上は自己記録更新と入賞を目標に臨んだ。結果は大健闘の末、惜しくも一〇位。「世界のトップ選手と走ることが出来て勉強になった」位置取り、駆け引きの凄さは国内とは桁違いで、中へ入ろうと思っても弾き飛ばされてしまう迫力を目の当りにした。そんなレースでも好記録を出せる集中力の違いを肌で感じたという。その威圧感は「国のために走っている」という高いモチベーションに基づく。この経験はきっと次に活かされることだろう。

国際大会でのコンディショニング
海外のレースでも日本食にこだわらず、何でも食べられることが彼女の安定した強さを生む。日頃から好き嫌いもなく「ご飯をしっかり食べる」生活を送っている。高校生の頃から周りを見て、太ったら走れないという意識があるので、お菓子類は殆ど食べない。自己管理が及ばず、貧血を経験したこともある。それ以来、食事では摂りきれない栄養はサプリメントで補うようにしている。造血剤の服用で胃を荒らしたこともあり、薬ではなく食品で摂るという正しい考え方を持っている。夢を大切にしたいから、自ら選手生命を脅かすようなことはしたくない。トップアスリートに共通の哲学を感じることができた。

目標は日本記録
毎年確実に自己記録の更新をしている理由を恵まれた環境のおかげだと言う。今まで出会ってきた監督や周囲の方々への感謝を忘れない。世界陸上でも「会社の応援団からの差し入れには助かりました」と謙虚な一面も覗かせてくれた。また、自分より強い選手から受ける刺激も大きいという。「私も頑張ります」レース後のインタビューには、いつも前向きな人柄が表れている。陸上を始めたきっかけは、小学校の校内マラソンで6年間連続1位だったこと。以来、確実にトップの座を手中にしてきた。そんな彼女だから目標は、ずばり日本記録更新である。

楽しく走ること
練習の秘訣は意外にも「楽しく走ること」練習に追われるのではなくメリハリをつけるのだそうだ。フリーの日曜日には、陸上のことも考えないで思い切りリフレッシュに努め、好きな音楽や雑誌で気分転換。但し、自己管理は忘れない。故障すら良い休養だと割り切って考える。明るく良い方向に受け止めた方が早く回復すると言う。この前向きな姿勢は大いに学ぶべきである。

夢、メッセージ
自分の限界が来るまでは精一杯続けたい。30歳を過ぎても活躍する外国選手に憧れている。中学、高校生へのメッセージは「走ることも大切だけど、陸上競技を永く続けたいならあまり無理せず、身体づくりをしっかりして欲しい」どうか多くの皆さんにこの言葉が届きますように。

取材担当より
10月に行われた日本選手権に於いても素晴しいレースを見せてくれた彼女は、またもや大幅に自己ベストを更新しました。夢に向かって走り続ける、そのひた向きな姿には暗い悲壮感も無く、洋々たる前途を感じます。その笑顔の奥に秘められた強い意志は、やがては大輪の花を咲かせることでしょう。嬉しいインタビューが出来るのも、そう遠い話ではないようです。私達もエールを送ると共に、負けないように頑張って参ります。
山根