2026年2月24日
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皆さん、お元気ですか?
冬季五輪を見ていて気づかされたのは、一流選手の「環境を言い訳にしない」たくましさです。
雪がなければ雪がある場所を作る。道がなければ切り開く。
そんな彼らの気概を思うと、走れる環境があることの有り難みが身に染みます。
たとえ、骨が折れていようとも、命懸けのパフォーマンスとなろうとも、どんな状況にも怯まない姿は本当に格好良かったですね。
寒かったり、暑かったり、そしてしんどかったり・・・。
毎日、いろいろありますが決して言い訳せずに感謝して走ろうと思います。
◆◇本日のメニュー◇◆
1 ランナーの利用可能エネルギー量不足を考える#2
2 セリアスタッフの舞台裏【しっかり食べると?】
3 陸上雑感【試して伝える】
春は、利用可能エネルギー量不足のリスクが高い季節なんです。
でも、上手にコントロールすればカラダは研ぎ澄まされて持久力も高まります。
まさに、長距離ランナーにとって絶好の「トレーニング黄金期」とも言えるのです!
ランナーの利用可能エネルギー量不足を考える#2
◆①基礎代謝量の季節変動◆
一般的に、日本のような四季のある地域では「基礎代謝量は、冬に高く、夏に低い」という明確な周期を描きます。その変動幅にはもちろん個人差こそありますが、おおよそ10%にも達すると言われています。
1日の必要エネルギー量が3500kcalの男子高校生選手の場合、そのうちの約60~70%が基礎代謝量に相当します。
つまり、基礎代謝量は夏は約2100kcal、冬なら約2450kcalとなり、おおよそ350kcal分(ごはんお茶碗大盛り1杯)の差となります。
◆②なぜ、季節変動があるの?◆
私たちヒトは、恒温動物ですね。気温が下がっても体温を約36~37℃に保つ必要があります。
そのため冬になると、発熱の出力を高めて体温を保持しているのです。
【発熱システムの発動】
- 熱産生:筋肉を震わせたり、細胞内の代謝を活発にしたりして、エネルギーを消費し、熱を発生させる。
- 褐色脂肪細胞の活性化:胸骨や肩甲骨周辺にある脂肪を燃やして熱を作る細胞が寒さで活性化する。
外気温の低い冬になると、体温を維持するために、これらの発熱システムの出力がアップします。
そのため冬は基礎代謝量が高くなるのです。
◆③エネルギー消費の内訳◆
ここで必要エネルギー量の内訳をご理解ください。- 基礎代謝量(BMR):約60~70%→生きていくために最低限必要なエネルギー量。
- 食事誘発性熱産生(DIT):約10%→食事を摂ったとき、消化・吸収で消費されるエネルギー量。
- 非運動性活動熱産生(NEAT):約10~15%→通学・家事など日常活動による消費エネルギー量。
- 運動による消費量(EAT):n%→その割合は、あなたの走行距離・強度・トレーニング量次第。
ちなみに、走ることで消費されるエネルギー量(EAT)は、じつは非常にシンプルな式で概算できます。
EAT(kcal)=体重(kg)x走行距離(km)
(例)体重60kgの人が10km走った場合、
60x10=600kcal
の消費となります。
◆④もし、ダイエットをしてエネルギー不足になったら◆
この維持費も、燃料費も高騰する冬から春にかけて食事制限をするランナーも後を絶ちません。ただでさえ基礎代謝量が高い今の季節に、食べるものも食べずに、走行距離を増やしたり、練習強度を高めたり、補強トレーニングを増やしたら・・・。
体内では筋肉や血液などの組織を分解して、不足したエネルギーを補う「糖新生」が状態化してしまいます。
貧血や故障の誘因となるばかりか、タンパク質分解の代謝物である尿素窒素やアンモニアが増え、肝臓や腎臓が疲れ果ててしまい簡単には拭いきれない疲労感に苦しめられます。
基礎代謝の高く、走り込みをする今の季節なのに、後先考えない食事制限はやめましょう。
◆⑤黄金期を上手に利用しよう◆
じつは、基礎代謝量の季節変動は、実際の季節より少し遅れて発動します。ですから、基礎代謝量がいちばん高いのはちょうど今、2~3月末ごろまでなんです!
必要エネルギー量が高いなかで、しっかりと食べて距離を踏むことができれば、毛細血管が発達し、脂質代謝が高まり、持久系機能を高めることが可能なんです。
だから、食事やトレーニングをしっかり制御したランナーは「春に伸びる」のです!
皆さんもぜひ、覚えておいてください。
今が一年でいちばん基礎代謝量が高くて、強くなるチャンスなんだということを!
ダイエットなんて、余計なことを考えず、しっかり食べて、たっぷり走り込めば、勝手に余分が削ぎ落とされ、持久系機能が発達し、パフォーマンスが高まるんだという意識を持って毎日を過ごしましょう。
::: セリアスタッフの舞台裏【しっかり食べると?】 :::
食事栄養講座を行う際は、毎回一人ひとりのエネルギー摂取量を計算し、日々の食事で必要エネルギー量を満たしているかどうかを確認してもらいます。これまで何度も同じアクティビティを行ってきましたが、必要エネルギー量を満たしている選手に出会ったことは、ほとんどありませんでした。
それだけ、多くの選手がエネルギー不足の状態で運動していたということです。
ところが先日、とある高校陸上部で同じように調べたところ、必要量をきちんと満たしている選手がいました。
その選手は、その高校のOBで、年始の大学駅伝を区間上位で走った選手です。
普段からしっかり食事を摂れているからこそ競技力が向上し、大舞台でも力を発揮できたのでしょう。
皆さんも、ごはんをしっかり食べて、日々の練習やレースに取り組んでくださいね。
(山内)
::: 陸上雑感【試して伝える】 :::
スポーツ科学や栄養学の世界は、まさに日進月歩。昨日までの「常識」が、明日には「過去の遺物」となることも珍しくありません。
40年前、初めて学んだラボはトレーニング理論の最先端を走る研究者の集団でした。
日本で初めてテーピングを紹介するなど、米国の理論を現場に取り入れ、日本中に広める日々でした。
しかし、そのテーピングでさえ時代とともに形を変え、進化し続けています。
ネット上に情報が溢れ、何が真実か見えにくい今だからこそ、私たちは「情報の精査者」でありたいと考えています。
社会で「良い」とされることでさえ、まずは自分たちのカラダで試し実証することが大事なのです。セリア通信でお届けするのは、単なる机上の理論ではありません。自分たちの生活で実践し、納得したものだけを厳選しています。 時には最新のトレンドとは異なる見解を示すこともあるかもしれません。しかしそれは、私たちが身をもって経験した揺るぎない事実に基づいています。皆さんの挑戦に、確かな手応えをお届けするために。
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連休中も生活のリズムを守りましたでしょうか?
コンディショニングの基本ですので、ぜひ実践してみてください。
では、また来週。
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