2025年9月23日
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皆さん、お元気ですか?
先週のセリア通信「駅伝間近にやってはいけない その2」で、エナジードリンクに潜んでいる危険性についての見解を紹介しましたが、世界陸上に出場していた有名選手が競技直前に飲んでいる場面が映し出されていました。
ご覧になられた方も多かったのではないでしょうか。
先週以降、何人かの大学生選手から「エナジードリンクを飲まないといられない」というご相談がありました。
飲んだ直後の何とも言えない「高揚感」なしには競技ができないという内容だったのです。
「砂糖不使用」であったり、「カロリーオフ」だったら良いでしょうか?
そんなご質問もありました。
ジュニア期のランナーにとって「エナジードリンク」は思っていた以上に根が深い問題でした。
スマホやゲーム、さらにはeスポーツ(エレクトロニック・スポーツ)全盛時代の今、大人が思っている以上に夜ふかしが当たり前となっている彼らはカフェイン抜きでは生きられないのかもしれません…。
今後もことあるごとに取り上げていくつもりです。
皆さんもぜひ、一緒に考えましょう。
◆◇本日のメニュー◇◆
1 駅伝間近にやってはいけない その3 夜ふかし
2 セリアスタッフの舞台裏【応援の力】
3 陸上雑感【移りゆく駅伝コース】
エネジードリンク同様に難しい問題かもしれませんが、駅伝前にやってはいけないのが「夜ふかし」です。
駅伝間近にやってはいけない その3 夜ふかし
◆①中枢神経と、2つの末梢神経◆
カラダの状況を正しく察知し、瞬時に適切な指令を出しているのが「中枢神経(ちゅうすうしんけい)」です。例えば、「走る」というときには「運動神経」に働きかけて骨格筋を動かします。
また、同時に呼吸や血液循環などを調整する「自律神経」へ指令を出し、走る速度や距離に対応できるようにカラダを整えています。
この2つの神経「運動神経と自律神経」を「末梢神経(まっしょうしんけい)」と呼びます。
【運動神経と自律神経】
運動神経は、自分の意志のもとで働きます。
「走れ」と思ったら、思った通りに骨格筋が動きます。
一方、自律神経は、その名の通り「自律」して働きます。
全身にくまなく配置され、カラダの置かれている状況を瞬時に察知し、各器官を調整するなどして、つねに最適な状態を保つように働いています。
◆②交感神経と副交感神経◆
自律神経は、本人の意思とは関係なく、呼吸や体温、心拍、血圧、消化、代謝、排尿、排便等々、生命活動を維持するための調整を24時間、休みなく行なっています。この自律神経には、身体活動を活発にする際に活躍する「交感神経」と、十分な休息をとる際に活躍する「副交感神経」があります。
これらがアクセル(活動)とブレーキ(休息)となって加減しながら体調の維持に努めています。
【自律神経=交感神経と副交感神経】
- 交感神経(アクセル)→心拍数増加、血圧上昇、発汗、脳血管の収縮など
- 副交感神経(ブレーキ)→心拍数減少、血圧低下、消化活動促進、睡眠、脳血管拡張など
◆③連携が取れているとパフォーマンスが上がる◆
皆さんが、「より速く、より長く走りたい」と思ったとします。すると、中枢神経から「活動を活発にするように」という指示が出ます。
それを受けた「運動神経」が、骨格筋の活動を活発にするように働きかけます。
その一方で、「自律神経」のうちの1つ、「交感神経」がカラダの各器官の働きを調整するのです。
「より速く」に応えるためには、心拍数を高め、血圧を上昇させ、血流やエネルギー代謝を促進させます。
また、「より長く」に応えるためには体温を一定に保つために発汗を促し、膀胱や消化器官の働きを抑えるように仕向けます。
このように「中枢神経⇄運動神経⇄自律神経」の連携がスムースであればあるほどに、ランナーの意図するパフォーマンスが実現できる環境が整うという仕組みです。
【ココ一番というときの粘りを支える自律神経】
レースでは、かならず勝負どころがありますね。
一番苦しい場面で粘れるか、諦めてしまうかで、結果は大きく二分されます。
そんなときに誰よりも何よりも一番、あなたを支えてくれるのが自律神経なのです。
心拍数やエネルギー代謝に働きかけて、耐え抜くための環境を整えてくれるからです。
もし、自律神経の働きに支障をきたしていたら、耐えられるものではありません。
◆④夜ふかしの怖さ◆
おまたせしました。今日のテーマは「夜ふかし」でした。
じつは大事なレースを控えた皆さんに、絶対にやってほしくないのが「夜ふかし」なのです。
研ぎ澄まされた肉体ゆえに、ランナーの体調はとても折れやすく、繊細です。
その繊細な体調がかろうじて保持されているのも、自律神経のおかげなのです。
もし、自律神経の働きを乱すようなことがあれば大変です。
狙ったパフォーマンスが発揮されることはありませんし、体調を崩すことにもなりかねないからです。
24時間365日休むことなく働いてくれている自律神経の働きを乱すもの。
それが「夜ふかし」なんです!
なかでもジュニア期の選手にとって「夜ふかし」は大敵です。
ひとたび自律神経の働きが乱れると勝負どころでこらえられなくなります。
個人のレースならまだしも、駅伝でブレーキとなってしまったら悔やんでも悔やみきれませんね。
だから、「今夜くらいは…」、「明日からやれば…」、「たった1日…」などという甘い考えは捨てましょう!
これにはご家族の皆さんの協力も必要ですね。
決して誘惑しないようにご注意ください。
言い換えれば、自律神経の働きが良くなればなるほど、パフォーマンスが発揮されやすいのです。
そのためにトップアスリートは大きな試合の前にはかならず「合宿」を行い、規則正しい生活を徹底して調子を整えているのですから。
秋は学校行事も多く、生活のリズムを守るのも大変かと思いますが、「夜ふかし」だけは絶対にしないように努めましょう。
::: セリアスタッフの舞台裏【応援の力】 :::
連日、多くの観客が駆けつけた世界陸上東京大会。日本の陸上大会では普段なかなか耳にしないような歓声が響き渡り、日本選手が登場すると、その声援はひときわ大きくなりました。
今大会では、1600m混合リレー、女子3000m障害、女子20km競歩、男子400mの4種目で日本新記録が誕生しました。
いずれも「苦しい時の粘り」が求められる種目ですが、応援の力が選手たちの背中を押したのかもしれません。
これからはいよいよ駅伝シーズン。
駅伝もまた「苦しい時の粘り」が欠かせません。
ここぞという場面で粘れるように、ぜひチームメイトやご家族の皆さんは全力で応援してあげてくださいね。
(山内)
::: 陸上雑感【移りゆく駅伝コース】 :::
交通事情の変化に伴い、駅伝コースの変更が相次いでいる。いわゆる一般道で行われる駅伝の開催が難しいため、競技場周辺の周回コースが主流となりつつある。
駐車や応援マナーの悪化も一因だと思う。
選手を応援する気持ちに嘘はないだろうが、だからといって何をしても良いというわけではない。
コース変更は致し方ないことだが、中止などとならないように注意したい。
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今週末は関東学生新人が開催されます。
詳しくは関東学連のホームページをご覧ください。
では、また来週。
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