走りの粘りを取り戻そう3「利用可能エネルギーと脂質がつくる強いカラダ」【セリア通信 vol.999】

2026年10月20日

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皆さん、お元気ですか?

毎日のトレーニングお疲れ様です!

「走りの粘りを取り戻そう」シリーズも、いよいよ今回で完結編(第3弾)となります。
第1弾(vol.997)では、「脂質を削りすぎるとカラダが省エネモードに入ってしまうこと」、 第2弾(vol.998)では、「食事で手軽に良質な脂質を摂る具体的レシピや、指導者・保護者の理解の大切さ」をお伝えしてきました。

今回は、これらを科学的に裏付ける総まとめです。

「なぜ脂質を摂ってエネルギーを満たさなければ、生理が止まり、骨がもろくなり、走りの粘りが消えてしまうのか?」
スポーツ医学や栄養学の最新の知見(FAT・REDs)をもとに、中高生ランナーの皆さんにもスッキリ納得できるように解説します!

◆◇本日のメニュー◇◆

1 走りの粘りを取り戻そう3「利用可能エネルギーと脂質がつくる強いカラダ」
2 セリアスタッフの舞台裏【東葛駅伝】
3 陸上雑感【若い熱量を、次の走り手へ】

「しっかり食べているつもりなのに結果が出ない…」
「生理が止まっていても走れているから大丈夫?」
そんな不安や疑問を抱える選手、そして支える保護者・指導者の皆さんに届いてほしい科学的コンディショニング編です。

走りの粘りを取り戻そう3「利用可能エネルギーと脂質がつくる強いカラダ」

◆1. 身体の「エネルギー残高」足りていますか?◆

皆さんは毎日の食事でカロリーを摂っていますが、そのエネルギーはまず「走るため」に使われるわけではありません。息をし、心臓を動かし、細胞を修復し、ホルモンを作るという「生きていくための基礎工事(生命維持)」に優先的に使われます。

食事から摂ったエネルギーから、ハードな練習で消費したエネルギーを引き算した「手元に残るエネルギー残高」のことを、スポーツ科学では利用可能エネルギー(EA: Energy Availability)と呼びます。

利用可能エネルギー(EA) = (食事摂取エネルギー - 運動消費エネルギー) ÷ 除脂肪体重(LBM)

※除脂肪体重(LBM):体重計の数値から「体脂肪の重さ」を除いた、筋肉や骨などの重さのこと。

◆2. EAと、除脂肪体重◆

ここで、利用可能エネルギー(EA)について、考えてみましょう。
EAの算出には、一般的な体重(全体重=体重計の数値)ではなく、脂肪を除いた筋肉や骨などの重量(LBM=Lean Body Mass)で計算します。

じつは、体脂肪(脂肪組織)は、エネルギーを蓄えるための組織であり、日々の心臓の拍動、細胞の修復、ホルモン分泌といった基礎的な代謝(生命維持の仕事)を直接行っているわけではありません。

一方、筋肉、内臓、骨などの「除脂肪組織(LBM)」は、常に活発にエネルギーを消費し、ホルモンや酵素を作り続けています。
そのため、スポーツ医学・栄養学における利用可能エネルギー(EA)の計算では、体脂肪の影響を排除し、 実際にエネルギーを必要としている体内の組織1kgあたりに、どれだけのエネルギー残高があるかを正確に測定するために「除脂肪体重(LBM)」を用いるのです。

つまり、利用可能エネルギー(EA)とは、除脂肪体重1kgあたりのエネルギー量になります。

その上で、覚えておいていただきたいのが次の数値です。

■ 安全ゾーン(EA 45以上):
身体の基礎工事も完璧! ホルモンも正常に分泌され、練習すればするほど強くなる状態。

■ 危険ゾーン(EA 30未満/LEA状態):
スポーツ医学では、このエネルギー残高が危険水準まで下がり切った状態を「利用可能エネルギー不足(LEA:Low Energy Availability)」と呼びます。 脳が「飢餓(命の危険)」と判断し、生存に直接関係ない機能をストップさせる非常に危険なサインです。

◆3. エネルギー不足(LEA)になると◆

エネルギー残高が危険ゾーン(30未満)に落ち込むと、脳の命令塔(視床下部)は真っ先に「生殖機能(生理)」を休止させます。

【食事制限や激しい練習によるエネルギー不足(LEA)】
↓
脳(視床下部)が「生命の危険!」と判断し、ホルモンの指令をストップ
↓
卵巣から「エストロゲン(女性ホルモン)」が出なくなる
↓
【無月経(視床下部性無月経)の発生】

■ エストロゲン低下がもたらす恐ろしい2大リスク

① 骨密度の激減(疲労骨折):
エストロゲンには「骨が壊されるのを防ぐ」という強力なガード役の働きがあります。これが消えると、いくらカルシウムを摂っていても骨がもろくなり、走行時の衝撃に耐えきれず疲労骨折を引き起こします。

② 血管の柔軟性の低下:
血管が硬くなり、筋肉へ酸素や栄養を届ける効率が落ちてしまいます。

◆4. ホルモン変動とパフォーマンの真実◆

本来、女子ランナーのカラダは月経周期に伴うホルモンバランスの変化(卵胞期と黄体期)に合わせてコンディションが変化します。
・前半(卵胞期): エストロゲンが高まり、糖質をエネルギーに変えやすく、高強度のインターバルやペース走でキレが出やすい時期。

・後半(黄体期): プロゲステロンが高まり、体温が上がって脂質利用が増える時期。水分を抱え込みやすく粘りが必要な時期。

無月経になると、一見「毎月体調が変わらなくて楽」と錯覚しがちです。しかし実際は、「閉経後のおばあちゃんと同じくらいエストロゲンが少ない状態」がずっと続いていることになり、長期的にはパフォーマンスが崩壊していきます。

◆5. 短期的な成功体験が招く「悪循環」◆

「体重を減らしたら一時的に軽くなって速く走れた」という体験が、一番のワナです。エネルギー不足を放っておくと、カラダは次のような悪循環に陥ります。

  1. 省エネモード(代謝低下): 体脂肪を燃やすホルモンが減り、逆に絞りにくい身体になる。
  2. 筋肉や血液が作られない: 練習をしても筋肉や血液の修復が進まず、パワーやスタミナが落ちる。
  3. エネルギーが貯められない: 炭水化物を食べても筋肉にエネルギー(グリコーゲン)を蓄えられず、レース後半にハンガーノックを起こす。
  4. 免疫力ダウン・スランプ: 風邪やインフルエンザなどに罹りやすくなり、ポイント練習を消化できずオーバートレーニングに陥る。

◆結論:脂質栄養を整えてこそのコンディショニング◆

エネルギー残高(EA)を満たすためには、ご飯(炭水化物)だけでなく、少量で効率よく高いエネルギーを生み出し、ホルモンの材料となる「良質な脂質」の摂取が絶対条件です!

生理不順や疲労骨折、貧血などの根本的な解決に至らないまま走れずにいるようでしたら、体重計の数値に振り回されるのではなく、「良質な脂質の摂取も含めたバランスの良い食事」でエネルギーを満たすことにトライしてみてください。 根本的なコンディションの改善につながる一歩となることを願ってやみません。

その上で、エネルギー不足、脂質不足になりやすいタフなトレーニング期にセリアサプライズをご活用ください。

食事の量を増やすのが苦手な選手や、走行距離が伸びて消費エネルギーが跳ね上がるシーズン中、毎日の食卓だけで良質な脂質を満たすのは簡単ではありません。
『セリアサプライズ』は、胃腸に負担をかけず、エネルギーバランスとコンディショニングを支える必須オイルをスマートに補給できるサプリメントです。


脂質を味方につけて、最後まで崩れないコンディションを作りましょう。


::: セリアスタッフの舞台裏【東葛駅伝】 :::

週末は箱根駅伝予選会、プリンセス駅伝、東京レガシーハーフなど、大会が盛りだくさんでしたね。
千葉県の東葛エリアでは、今年で78回目となる東葛駅伝が開催されました。
東葛エリアの中学校の選手たちが、松戸から野田までの10区間、31.9kmを駆け抜ける駅伝です。
ローカル駅伝とはいえ、長い歴史があり、支部駅伝や県駅伝よりもこちらの方が大事だと思っている選手や先生方もいらっしゃるほどの大会です。
今年優勝したのは、柏市立第二中学校でした。

柏市はここ数年で学校部活動が縮小してきた地域の一つですが、柏二中では、顧問の先生方がクラブチームとして活動することで、中学生たちが成長できる場を提供してきました。
今後、こうしたチームも増えるといいなと思うのです。
(山内)

::: 陸上雑感【若い熱量を、次の走り手へ】 :::

地域移行が進む今、大きな希望となるのが「大学生ランナーや若い世代」の存在です。

中高時代に恩師から受け取った「走る情熱」や「自己ベストの喜び」は、地域で指導者を待つ子どもたちにとって最高の財産です。技術だけでなく、「競技を全力で楽しむ背中」を見せる若いコーチがいるだけで、子どもたちの目は劇的に輝き出します。

そしてジュニア育成に関わる体験は、大学生自身にとっても「スポーツの本質」を学び直し、自分を大きく成長させる掛け替えのない時間になります。

指導者・保護者の皆様、地域や大学と連携しながら子どもたちの笑顔を守っていきましょう。そして若い世代の皆さん、ぜひその熱いバトンの「次の走り手」としてジュニア育成の現場へ飛び込んでみてください。

あなたが渡す一言が、未来のランナーの人生を変えるはずです。

* * * * * * * * * * * * * * * *

毎日の食卓やお弁当作りで温かく支える保護者の皆様の努力もまた、走りを支える大切なエネルギーです。どうぞ無理をなさらず、ご家庭でも楽しくおいしい食事の時間を大切にしてくださいね。

では、また来週。


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